【JCW】2021 Season Round.3(第5戦・第6戦) レースレポート

2021年8月21日(土)、22日(日)の2日間にわたり、「MINI CHALLENGE JAPAN.2021 Rd.3 Sportsland SUGO Presented by MINI 仙台&郡山」が、宮城県のスポーツランドSUGOにて開催されました。

高低差のあるレイアウトと大小さまざまなコーナーがちりばめられた、攻め甲斐のあるテクニカルサーキットとして知られるスポーツランドSUGOは、スーパーフォーミュラ、SUPER GTといったトップカテゴリーのレースも行われている国際レーシングコースです。スピードに乗ったバックストレートから、フルブレーキングで進入する馬の背コーナーでのかけ引き。さらには、最終コーナーを経てホームストレートへと向かう登り勾配など見どころがたくさん。さて今年はどんなドラマが生まれるのでしょうか。

Round.3 JCWクラスのエントリーは、
#2   後藤 比東至 選手(EX-FORM RACING/EX-FORM F56JCW)
#17 鈴木 建自 選手(バースレーシングプロジェクト【BRP】/BRP★MINI F56JCW)
#57 阿部 良太 選手(TeamAbeMotors/TeamAbeMotorsF56JCW)
以上3名となりました。

2ラウンドが終了した時点で、シリーズチャンピオン争いのトップに立っているのは#9 平田 雅士 選手。Round.2 鈴鹿(第3戦・第4戦)で2連勝し、209ポイントを積み重ねていますが、今回のSUGOは欠場となりました。その平田選手にどうしても追いついておきたいのが、#2 後藤 比東至 選手。Round.1 富士(第1戦・第2戦)を予選ポールポジション、決勝2連勝と完全制覇したものの、Round.2 鈴鹿を欠場した後藤選手は、シリーズチャンピオンに向けて1戦も落とせないという覚悟でSUGOに乗り込みました。

#17 鈴木 建自 選手と#57 阿部 良太 選手は、両者とも昨シーズンからモータースポーツの世界に足を踏み入れたばかりのジェントルマンドライバーですが、その成長はめざましく、今回のラウンドでも素晴らしい走りを見せてくれるに違いありません。

さて、Round.3 SUGOは、1日目の午後に公式予選が行われ、2日目の午前に決勝レース1(第5戦)、そして午後に決勝レース2(第6戦)というスケジュールが組まれています。また、今回のラウンドはMINIの正規ディーラーであるMINI仙台、MINI郡山が運営をサポートし、2日目の決勝レース終了後にはMINI仙台、MINI郡山のお客様が参加してコースを周回するパレードランも開催。さらにスポーツランドSUGOの施設には、快適にレース観戦が楽しめる“JCWラウンジ”が設けられ、華やかなレースイベントとなりました。

予選


1日目の公式予選は、スケジュール通り午後2時15分にスタートしました。お昼過ぎまで小雨が降っていましたが、すでに路面は乾きコースコンディションはドライ。20分間のセッションでタイムを刻みますが、まずは後藤選手が先陣を切り、阿部選手、鈴木選手が続いてコースインしました。空を雲が覆い気温は30度に届かないものの湿度が高く、かなり蒸し暑い状況で一時は途中の降雨も心配されましたが、セッション中は路面を雨が濡らすことはなさそうで、全車ダンロップのドライタイヤで出走しました。

 

まず好タイムをマークしたのは鈴木選手。アウトラップと1周目にタイヤをしっかりと温め、2周目に1分36秒569、3周目に1分36秒511を出すと、4周でアタックを終えピットに戻りました。阿部選手もコースイン後はタイヤを温めつつ走行。徐々にペースを上げ3周目に1分38秒463を出すと、4周目には1分38秒233にタイムを縮め、さらに5周目で1分37秒847をマークしました。

 

ライバル2選手とは異なる作戦をとったのが後藤選手です。コースイン後はリアタイヤを温め、その周のみでピットインしフロントタイヤを新品に交換。再びコースインすると3周目にアタックし、1分36秒065で鈴木選手の記録を塗り替えトップに立ちます。しかしチームはより高いところに目標タイムを設定していたため4周目もアタックし、最終的には1分35秒307までタイムを縮め予選を終了しました。

こうしてJCWクラスは、2位に1秒204差をつける1分35秒307を出した後藤選手が決勝レース1(第5戦)のポールポジションを獲得しました。そして2番手は1分36秒511の鈴木選手、3番手は1分37秒847の阿部選手という結果となりました。

昨年の開催がほぼ同時期とはいえ、比較的過ごしやすい気温だった午前中に行われたことを考えると、1年前のタイムをさらに縮めた後藤選手の健闘が光ります。さらに鈴木選手、阿部選手とも昨年の予選タイムを大幅に更新。決勝レースの戦いが面白くなりそうです。

ポールポジションを獲得した後藤選手は、

「1分34秒台を狙っていたので反省点もあるのですが、ポールポジションを得てホッとしています。路面状況はドライだったものの、お昼頃の雨で土埃のようなものがうっすらとコースの一部を覆っていて、ステアリングのインフォメーションが少なく思いのほか走りにくかったですね。1ラウンドお休みしたため、現在のシリーズポイントでは最下位なので、予選、決勝ともに取りこぼしはできないと思っています。2レースとも勝てるよう、全力で走ります

と決勝レースに向けて気持ちを引き締めていました。

第5戦 決勝


2日目のスポーツランドSUGOも、朝から厚い雲が空を覆い小雨が降ったりやんだりの天候となりました。夜の間にも降り続けたため午前中の路面はかなり濡れた状態で、決勝レース1の前には「ウェット宣言」が出されました。これによりJCWクラスの各マシンはレインタイヤの「DUNLOP 220/620R17 D93J」を装着することができます。

路面が濡れている状況でのレースは何度もあったものの、昨年はJCWマシンがレインタイヤを装着してバトルすることはなく、さかのぼれば2019年のRound.2 ツインリンクもてぎの決勝レース(第3戦、第4戦)以来となります。こうしてJCWクラスのマシンは全車レインタイヤで出走となりました。

午前9時18分にフォーメーションラップが始まると、各車ともレインタイヤを温めながらそのフィーリングを確かめるように走行。そしてスターティンググリッドにつくと、タイムスケジュールより3分遅れで午前9時23分にレースがスタートしました。

 

出遅れるマシンもなく、3台が第1コーナーへ向けて加速しますが、2番グリッドの鈴木選手がイン側から後藤選手を捉えようとダッシュ。後藤選手が巧みにそれを封じ、後藤選手、鈴木選手、阿部選手の順で第1コーナーをクリア。オープニングラップをそのままの順位で終えると、3台はそれぞれ1秒半ほどの間隔で2周目に入りました。

このまま順位は変わらず、3周を終えたところでトップと2位との差は6秒近くまで広がりましたが、鈴木選手、阿部選手ともウェット路面を苦にすることなく追走。ところが鈴木選手に、スタートの際わずかに早く動いてしまうジャンプスタート(反則スタート)の判定が下されてしまいます。そして一度ピットレーンを通過するドライブスルーペナルティが科され、6周目にこれを実施。このため2位と3位が入れ替わることとなりました。

以降は後藤選手が周回を重ねるごとに差を広げ、阿部選手と鈴木選手にも大きなギャップが生まれてしまったため順位に変動はなく、後藤選手が25秒の大差をつけて優勝。そして2位 阿部選手、3位 鈴木選手という結果となりました。なお、決勝レース1(第5戦)JCWクラスのファステストラップは、後藤選手の1分47秒888でした。また、鈴木選手のベストラップは1分49秒002、阿部選手は1分49秒198と拮抗しており、午後に行われる第6戦の展開からも目が離せません;

優勝した後藤選手は、

「周回を重ねるごとにアドバンテージを広げることができたので、最後まで安定したタイムが刻めるよう集中力を切らさないことを心がけました。実は駆動系のコンディションに少し不安を抱えていたので、シフトチェンジの回数を減らすなどマシンをいたわりながら走っていました。鈴木選手も阿部選手もとても速くなっているので、決勝レース2も気合いを入れてミスなく走り切れるようがんばります

とレースを振り返りました。

2位の阿部選手は、

「人生初めての雨のレースでした。スタートはホイールスピンしてしまい出遅れましたが、鈴木選手にチャンスをいただいて2位となってからは冷静に自分のペースで走ることができたと思います。ただウェットということもあり、最終コーナーなどはドキドキでした。車検の際に電気系のトラブルが出てしまったのですが、チームがきちんと対応してくれました。マシンのセッティングやレース中のサポートなどチーム全体も成長しているという実感があります。さらに上を目指せればと思っています

と自身とチームの成長に手応えを感じている様子でした。

3位の鈴木選手は、

「ライングしてしまいました。SUGOはメインストレートが第1コーナーに向けて下り坂になっていて、大丈夫かなと思っていたんですが動いてしまいました。ダンロップのレインタイヤでレースを戦うのはもちろん初めてでしたが、想像以上にしっかりとグリップして、安定して走ることができたのは収穫です。けれど阿部選手が速くなっているのでうかうかしていられません。次のレースはいい結果が残せるようにしたいと思います

と話してくれました。

第6戦 決勝


Round.3 SUGOの決勝レース2(第6戦)は、午後1時のスタート予定。決勝レース1以降も日差しが見えたかと思えば、急に小雨が降り出すなど不安定な天気で、路面コンディションも気になるところ。そしてレーススタート直前にまた小雨が降り出し、各チームはレインタイヤも準備していましたが、路面は乾いていたこともあり全車スリックタイヤでの出走となりました。

さて、MINI CHALLENGE JAPANは、各クラスにおいて決勝レース1で上位60%に入ったドライバーが、決勝レース2ではその順位を「ひっくり返して」グリッドにつく“リバースグリッド”方式を採用しています。しかしSUGOラウンドはエントリーが3台のため、決勝レース1の結果のままスターティンググリッドにつくことなり、ポールポジションに後藤選手、2番グリッドに阿部選手、3番グリッドに鈴木選手という順番となりました。

そして予定よりわずかに遅れて午後1時1分、レースが始まりました。後藤選手が素晴らしいスタートを決め、鈴木選手はやや慎重に動き出したという印象。阿部選手もクリーンなスタートで2番手をキープし、後藤選手、阿部選手、鈴木選手というグリッドの順位のまま第1コーナーに飛び込みました。その後オープニングラップは、後藤選手が少しずつ後方を引き離しはじめ、阿部選手と鈴木選手は接近戦となるものの、阿部選手がしっかりと2番手のポジションを守り続けました。しかし、2周目に入った第1コーナーでついに鈴木選手が阿部選手を捉え、2位に浮上。鈴木選手は前方の後藤選手を見据え追撃体制に入りました。

一方、後藤選手はコンスタントに1分37秒前後でラップを刻み、後続を寄せつけません。終盤の12周目には、クーパーSクラスで激しい首位争い真っ最中の石井選手と谷岡選手に後藤選手が追いつきます。後藤選手は2台のバトルに影響を与えないようペースを落としつつ慎重にオーバーテイクし、その後はさらにペースアップ。最終的には2位に12秒以上の差をつけてフィニッシュ。そして2位 鈴木選手、3位 阿部選手という結果となりました。

こうしてRound.3 SUGOは、後藤選手が予選、決勝レース1、決勝レース2ですべてトップとなる完全制覇を達成。今後のシリーズチャンピオン争いに向けて手応えを感じるラウンドとなりました。なお、決勝レース2(第6戦)JCWクラスのファステストラップは、後藤選手の1分36秒938でした。

優勝した後藤選手は、

「スタートして1〜2周目はとても滑りやすい状況で、慎重にマシンを操りました。その後ある程度のアドバンテージを取ってからは、路面も乾き1戦目と同じようにクルマをいたわりながら、自分のペースで走ることができました。今回はいろいろなコンディションでMINIを走らせることができ、とてもいい経験になりましたね。次のラウンドの岡山は、地元の平田選手が参戦するので、ここにいる3人でやっつけたいと思います(笑」

と今後に向けて意気込みを語りました。

2位の鈴木選手は、

「今回は落ち着いてスタートしようと心がけて、うまくいきました。早い段階から阿部選手にぴたりと食いついていけたのがよかったと思います。BPRチームの戦略で、路面にあわせてタイヤをならしておいたのですが、それもうまくはまったと思っています。どんなコンディションにもしっかりと対応してくれるチームにはいつも感謝しています。岡山はさらにテクニックが必要とされるコースだと思うので、しっかり準備して臨みたいと思います

と冷静に分析しつつ、次戦に向けて気持ちを新たにしていました。

3位の阿部選手は、

「今日一日、目まぐるしく変化するコンディションの中でとても疲れました。消耗が激しかったものの、気持ちよく戦うことができました。2番手のまま第1コーナーに入ることができ、1周目は鈴木選手を抑えることができたので、このままいけるかなとも思ったのですが、そうはいかなかったですね。でもレースは楽しめました。みなさんにアドバイスをいただいて、本当に感謝しています。次戦の岡山は昨年出場していないので初めてのコースとなりますが、いい結果を残せるようがんばります

とこれからのレースに向けて抱負を語りました。

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