【JCW】2021 Season Round.2(第3戦・第4戦) レースレポート

2021年5月23日(日)、MINI CHALLENGE JAPAN.2021 Round.2が、三重県の鈴鹿サーキットで開催されました。モータースポーツファンの誰もが憧れる名門国際コースを舞台に、MCJPが行われるのは初めてのことです。

鈴鹿サーキットは全長5,807mのロングコース。立体交差を盛り込むことで非常に珍しい8の字型のレイアウトを実現しており、変化に富んだコーナーが次々と現れる攻めがいのあるテクニカルコースとなっています。軽快なフットワークが持ち味のミニには相性がよさそうですが、さてどんなドラマが待っているのか、エントラントだけでなく見る側も期待に胸が膨らみます。

Round.2 JCWクラスのエントリーは、
#9 平田 雅士 選手(RH.SAKAI with HIRATA.AC/IDI 平田空調 RH坂井F56JCW)
#17 鈴木 建自 選手(バースレーシングプロジェクト【BRP】/BRP★MINI F56JCW)
#57 阿部 良太 選手(TeamAbeMotors/TeamAbeMotorsF56JCW)
以上3名となりました。

今回はRound.1で第1戦、第2戦と2連勝を果たした後藤選手が出場していませんが、昨年よりモータースポーツのキャリアをスタートさせたばかりの鈴木選手、阿部選手ともにスキルアップがめざましく、また今年はフル参戦を予定している平田選手もシリーズチャンピオンを目指して意欲満々。ワンメイクレース専用に仕立てられた本格競技車両による戦いに、注目が集まります。

さて、今シーズンはレギュレーション等が若干見直され、JCWクラスでは車両に装着するタイヤとサスペンションパーツに一部変更がありました。タイヤはダンロップが供給することは昨年と変わりませんが、JCWマシン専用スペックの「DUNLOP 215/625R17 D20」が新たに用意されました。開発にあたっては昨シーズンを通してデータを収集。8.0J×17インチのJCWマシン専用ホイールに合わせてサイズを最適化し、剛性をアップしました。さらにコンパウンドなどタイヤの素材も見直しており、グリップ力の向上とライフ性能のアップを両立しています。

そしてもうひとつはサスペンションパーツ。足回りにはアイバッハ製スプリングを装着していますが、レートを高めたスプリングが「MF(ミディアム・レート)」として追加設定され、従来のスプリングは「SF(ソフト・レート)」と呼ばれることになりました。ドライバーの好みに応じて2種類から選べるようになり、また各サーキットの特性に合わせたチョイスも可能でセッティングの自由度が広がりました。

予選


鈴鹿初見参のMCJP。その公式予選は予定より3分遅れで午前9時58分にスタート。気温はすでに21.4℃まで上昇し、日差しも強くなってきました。JCWクラスは鈴木選手、平田選手、阿部選手の順でコースイン。平田選手はアウトラップを済ませるとピットインし、前後タイヤを入れ替え再びコースに戻りますが、平田選手と阿部選手はそのまま走行を続けてタイヤをしっかり温める作戦をとりました。

すると鈴木選手が2周目にアタックを開始し、2分26秒579という好タイムを叩き出しました。そのまま3周目もチャレンジしましたが、2分26秒597とほんのわずか前周に届きません。しかし鈴木選手は2周目のタイムに手応えを感じ、タイヤを温存させる目的もあってこれでアタックを終了し、ピットに戻りました。

鈴木選手のあとにピットインしたのが阿部選手。とくにマシンにトラブルがあったわけではなく、空気圧チェックとホイールボルトの増し締めを行い再びコースインします。阿部選手は3周目に2分32秒094をマークしていましたが、その後も鈴鹿のコースになれる目的もあって予選の20分間をフルに使って7周を走行しています。

一方、平田選手はピットアウトすると3周目にアタック。2分27秒282を出しますが、鈴木選手のタイムには及びません。ツスク4周目も2分27秒748とタイムを縮めることはできずアタックを終えました。

こうしてJCWクラスは、2分26秒579を出した鈴木選手がで第3戦のポールポジションを獲得しました。そして2番手は2分27秒282の平田選手、3番手は2分32秒094の阿部選手という結果となりました。

ポールポジションを獲得した鈴木選手は、

「初めてのポールポジションで、とてもうれしく思っています。2分25秒台に入るかなと思ったのですが、今日は暑くなりそうなのであまり無理をせず、タイヤを温存しつつ走りました。2番手の平田選手はレースキャリアが豊富な方ですが、抑えきれるようにがんばります。私はまだまだスタートが上手ではないので、もしかするとそこに見どころ、ドラマがあるかもしれませんね

と決勝に向けて意気込みを語ってくれました。

第3戦 決勝


風があり湿度も低いので爽やかさを感じる鈴鹿サーキットですが、気温は決勝スタート前にすでに25℃。難易度の高いコーナーが数多く待ち受けるコースだけに、タイヤの状態がどう変化していくのかも気になるところです。JCWクラスは、午後12時55分にコースイン。午後1時15分にフォーメーションラップを開始し、鈴木選手、平田選手、阿部選手の順でスターティンググリッドに並びました。

そして、午後1時20分にスタート!平田選手が鮮やかなスタートを切り鈴木選手の前へ出ると、そのまま1コーナーをクリアしていきます。鈴木選手も大きく離されることはなくピタリと追走し、その後方に阿部選手も続きます。JCWクラスのマシンが履くスリックタイヤは、1周目はなかなか温まらず、各ドライバーともに神経をすり減らすドライビングとなりますが、オープニングラップは大きなアクシデントもなくこの順位のままレースが進みました。

そしてメインストレートへ戻ってくると、平田選手のスリップストリームに入った鈴木選手がアウト側から並びかけ、1コーナー出前でサイドバイサイドの熱い展開となりました。しかしコーナーに侵入する手前で鈴木選手のマシンが挙動を乱しコースアウト。サンドトラップにつかまり、身動きができなくなってしまいました。

鈴木選手はなんとかコースに復帰しレースを続けることができましたが、時すでに遅し。先頭の平田選手に続いて2位を走る阿部選手にも1ラップ差をつけられており、20分+1周のレースは9周にて終了。平田選手が余裕の走りで最初にチェッカーフラッグを受け、2位 阿部選手、3位 鈴木選手という結果となりました。なお、Round.2 決勝レース#1(第3戦)JCWクラスのファステストラップは、平田選手の2分29秒455でした。

優勝した平田選手は、

「うまくスタートを決めることができて『よしこれでいける!』と思ったのも束の間、タイヤがなかなか温まらずグリップしなかったので、鈴木選手に迫られ1周目はヒヤヒヤものでした。鈴木選手があのようなことになってしまったので、2周目からは鈴鹿のコースに慣れるように冷静に走りました。実は鈴鹿は16年ぶりなんです。2レース目はポールポジションからのスタートなので、逃げ切れるようがんばります

と話してくれました。

2位の阿部選手は、

「2位は初めてなので、本当にうれしいです。『やりました!』という気持ちがありますね。レースを始めたばかりなので、鈴鹿を走るのは初めて。もうワクワクドキドキです。私だけでなく、チームスタッフ全員がMCJPに参戦するまでレース未経験で日々チェレンジという感じです。みんな鈴鹿ということでのぼせていますが、喜びもひとしお。少しずつですが、チーム全体で進歩していると感じています

と喜びを語りました。

3位の鈴木選手は、

「ほんとうに悔しいですね。ポールポジションのプレッシャーに負けたということでしょうか、出遅れてしまいました。けれど1周目は前をいく平田選手にじわりじわりと近づいていたので、早めに抜き返したいと考えていました。そこで1コーナー手前で仕掛けたのですが・・・。平田選手はジェントルな方なのでちゃんとスペースを空けてくれいましたし、本当に残念です。マシンにダメージはなさそうなので、次こそいいレースをお目にかけたいと思います

とレースを振り返りました。

第4戦 決勝


決勝レース#2は、決勝レース#1終了から2時間半ほど経った午後4時20分のスタート予定でしたが、やや進行が遅れフォーメーションラップがこの時間にスタートしました。1デイ2レースのレースフォーマットを採用したMCJPでは、この2戦目に“リバースグリッド”を採用しています。各クラスにおいて決勝レース#1で上位60%に入ったドライバーがその順位を「ひっくり返して」グリッドにつくのですが、今回の出場は3台のため、決勝レース#1(第3戦)の順位のままスターティンググリッドにつきます。

前戦より暑さが少し落ち着くかと思われていましたが、気温26℃、路面温度44℃とタイヤにとってはなかなか厳しいコンディション。そんななか、平田選手、阿部選手、鈴木選手の順でスタートを待ちます。

そして午後4時25分、各車一斉にスタート。3台ともにスムーズなスタートを決めましたが、1コーナーの進入で鈴木選手が阿部選手をアウトから抜き去り、2位に浮上しました。ここから第3戦の雪辱を果たすべく鈴木選手が追い上げを見せてくれるのかと誰もが思いましたが、鈴木選手のペースがいまひとつ上がりません。1周目は平田選手に3秒678の差をつけられ、その後も2台のギャップは少しずつ大きくなっていきました。

また、阿部選手も鈴木選手を追いますが、その差も縮まりません。それぞれが単独走行のようなかたちになり、10周を終えたところで平田選手が鈴木選手に11秒711の差をつけポール・トゥ・ウィンを飾りました。2位は鈴木選手、3位は阿部選手で、Round.2 決勝レース#2(第4戦)JCWクラスのファステストラップは、平田選手の2分28秒878でした。

優勝した平田選手は、

「まずは失敗しないようにスタートに集中しました。そして1周目でアドバンテージを作って逃げ切ろうと、前半に勝負に出ました。余裕があったように見えるかもしれませんが、一生懸命走っています。鈴木選手はもちろんのこと、阿部選手も最終ラップでベストタイムをマークするなど、どんどん成長していて素晴らしいですね。MCJPはとても雰囲気がよくて楽しくレースができていますが、これからもみんなで盛り上げていければと思っています。たくさんの方々に参加していただきたいですね」

と話してくれました。

2位の鈴木選手は、

「スタートで阿部選手を抜いて、その後は虎視眈々と平田選手に照準を合わせていたつもりなのですが、思うように追いつけませんでした。平田選手はレース運びがとても上手だなと痛感しました。今回は文字通り『平田劇場』でしたね。とっても悔しいのですが、ドライバー同士は仲が良くて、『1、2コーナーは何速で入る?』なんて情報交換をしたりしています。いろいろと考えながら、研鑽を積んでいければと思います

とレースを振り返りました。

3位の阿部選手は、

「2レースともに完走できて、とてもいい一日になりました。チーム全員でレースに臨み、満喫することができたと思います。今回協賛いただいたMINI津、MINI四日市のスタッフの方々やお客様にも応援いただいて、本当にありがとうございます。ミニはふだん乗っても楽しいのですが、このようなモータースポーツに身を置いても本当に素晴らしいクルマだと実感します。ミニ・オーナーのみなさんがミニがかわいくてたまらないように、私も一緒に戦っているJCWマシンがかわいくてしょうがないんです。これからも引き続き応援をお願いいたします

と笑顔で話してくれました。

ユーザーの資格情報を使用してログイン

あなたの詳細を忘れましたか?