【CPS】2021 Season Round.5(第9戦・第10戦) レースレポート

2021年12月11日(土)、12(日)、「MINI CHALLENGE JAPAN.2021 Round.5」が静岡県の富士スピードウェイで開催されました。

今季を締めくくる最終ラウンドの富士スピードウェイは、日本屈指のハイスピードコース。クーパーSクラス(CPSクラス)のマシンでも、200km/hを優に超えるスピードでメインストレートを駆け抜け、加えて迫力あるバトルが繰り広げられるコーナーも数多く、見る者を楽しませてくれるレース展開が予想されます。

さらに、シリーズチャンピオン争いもラウンド5を大きく盛り上げる要素となるに違いありません。ラウンド4までの8戦を終えた時点で、古田 聡 選手が3勝、増田 直人 選手が2勝、そして谷岡 力 選手、石井 一輝 選手、三浦 康司 選手がそれぞれ1勝をあげており、5人のウイナーがいるという大混戦。ラウンド4までのランキングは、291ポイントを獲得している古田選手が一歩リードしていますが、ラウンド5の結果によっては5位の三浦選手までチャンピオンの可能性が残されています。

おのずとこれまで以上に激しい戦いとなりそうなラウンド5 富士ですが、まず1日目には、午後1時10分から公式予選が20分間行われます。そして2日目の午前10時から決勝レース1(第9戦)、午後に決勝レース2(第10戦)が午後3時30分から、それぞれ20分間+1周で争われます。

さて、Round.5 クーパーSクラス(CPSクラス)のエントリーは、

#4 谷岡 力 選手(楽しく走ろう.com/モレキュール R’SDESIGN MINI)
#6 Antonio Ito 選手(NEW AGE RACING/NEW AGE MINICPS)
#18 奥村 浩一 選手(バースレーシングプロジェクト【BRP】/BRP★MINI岡山F56CPS)
#19 吉田 知史 選手(バースレーシングプロジェクト【BRP】/BRP★MINIたちばな運輸F56CPS)
#56 石井 一輝 選手(ダイワグループミニ/ダイワグループ MINI)
#70 増田 直人 選手(増田 直人/エルファイネスト F56CPS 制動屋)
#77 古田 聡 選手(ピットハウスレーシング/ガレージピットハウスF56CPS)
#161 森岡 史雄 選手(WAVE SPEED/F-MODE IE CPS)
#337 三浦 康司 選手(三浦 康司/D.D.R☆制動屋 MINI)

以上9名となります。

2021シーズン初戦も富士スピードウェイで開催されましたが、第1戦、第2戦ともに優勝が古田選手、2位が谷岡選手という結果でした。シリーズトップをゆく古田選手が、得意とする富士のラストラウンドも好成績を収め、シリーズチャンピオンを手中に収めるのか。それとも前戦の岡山で好調な走りを見せ、ラウンド4終了時点で2位につける谷岡選手が逆転するのか?

古田選手と谷岡選手を中心にトップ争いが行われると予想されますが、表彰台常連の奥村選手や鈴鹿と岡山で2勝している増田選手、さらにSUGOで優勝した三浦選手にもシリーズチャンピオンへの挑戦権が残っています。そして、これまでラウンド1、3のみの出場ながら素晴らしい速さを披露している“社員ドライバー”石井選手の走りにも注目したいところ。またラウンド5には、森岡 史雄 選手が初参戦。経験豊富なドライバーゆえ、森岡選手がどのようなパフォーマンスを見せるのかも、レース展開に影響を与えそうです。

予選


午後1時10分、予定通り公式予選がスタートしました。バースレーシングプロジェクト【BRP】の奥村選手と吉田選手がやや遅れてピットアウトしますが、ほぼ全車一斉にコースイン。思いのほか冷え込みが和らいだものの、やはり12月らしい気候ですから各車ともまずはタイヤをしっかり温めアタックの準備をします。その中で、古田選手と森岡選手は一度ピットインし、車両チェックなどを行っている様子。そして何人かのドライバーは、2周目から本格的なアタックに入りました。

まずは石井選手が2分08秒250の好タイムをマークし、これに奥村選手が2分09秒350、吉田選手が2分10秒289と続きます。ただ、この時点ではタイヤの温まり方が不足していると判断し本格的なアタックに移っていないドライバーも多いようで、まだまだタイムは伸びそうです。

続いて3周目に入った増田選手が2分07秒959と、7秒台をマークしてトップに躍り出ました。2番手は石井選手のままですが、3番手には2分08秒546の三浦選手が浮上。一方、谷岡選手、Antonio Ito選手、古田選手、森岡選手はまだ本気のアタックはしていません。

トップに立った増田選手は4周目もそのままアタック。2分07秒453を叩き出し、自身の記録を塗り替えました。さらに奥村選手が2分08秒198で石井選手を抜き2番手へ。また、谷岡選手は2分8秒960を出しますが、以降はタイムが伸びません。Antonio Ito選手は4周目に2分09秒175を出し、さらに5周目には2分09秒001へタイムを縮めました。

予選時間が半分を過ぎたところでアタックを開始したのが古田選手。自身の3周目に2分08秒451と、この時点で4番手のタイムをマークしました。最後にタイムを刻んできたのは森岡選手。予選終了間際に、初参戦ながら決勝での活躍を期待させる2分08秒341を出しました。

こうしてポールポジションは、ただひとり2分7秒台をマークした増田選手が獲得。続いて奥村選手が2番手となり、3番手 石井選手、4番手 森岡選手、5番手 古田選手、6番手 三浦選手、7番手 谷岡選手、8番手 Antonio Ito選手、9番手 吉田選手という予選結果となりました。

ポールポジションを獲得した増田選手は、

「昨年からCPSクラスに出場していますが、それまで本格的なレース経験はありませんでした。車載映像を見ながらじっくり研究し、ATの扱い方、市販車ベースならではのドライビングの特徴などを身体に染み込ませてきましたが、今回のレースでは「より丁寧に、シチュエーションによっては大胆に」と“走らせ方”について意識改革しました。ポールポジションはその成果だと思います。まだいろいろと修正しなければいけないと感じていますが、決勝レースはポール・トゥ・フィニッシュしたいですね。自信はあります」

と話してくれました。

第9戦 決勝


ラウンド5は2日間にわたって行われ、決勝2レースが開催される12日は予選が行われた前日同様青空が広がり天候に恵まれました。しかし、最初の戦い、第9戦のスタートは午前10時。厳しい朝の冷え込みが予想されたものの、気温はレース直前で12℃とやや高めとなりました。それでも路面温度は上がらず日差しが照らした部分は13℃、日陰は10℃と、やはり季節を感じさせるコンディションで、レース序盤はタイヤのグリップとどう折り合いをつけるのかもポイントになりそうです。

決勝レース前には、各マシンがグリッドに並ぶと“グリッドウォーク”が行われました。ラウンド5は多くのミニファン、レースファンが訪れとても華やかな雰囲気に。本格的なワンメイクレースでありながら親しみやすい雰囲気に溢れているのもミニチャレンジの大きな魅力です。CPSクラスは、ポールポジションの増田選手に続いて、奥村選手、石井選手、森岡選手、古田選手、三浦選手、谷岡選手、Antonio Ito選手、吉田選手の順でスターティンググリッドにつきました。

そして午前10時5分、各車一斉にスタート。まずはポールポジションの増田選手を先頭に第1コーナーへ加速しますが、好スタートを切った古田選手が石井選手をかわしてさらに前をうかがいます。また、森岡選手もイン側から奥村選手のサイドにつき、第1コーナー直前には増田選手、古田選手、森岡選手、三浦選手、奥村選手と続きます。ところが、前をいくJCWクラスの鈴木選手が第1コーナーでスピンしたことにより停止。CPSクラスのマシンはこれを避けながらコーナーを抜けることになり、ここで順位が大きく入れ替わります。

増田選手の先頭は変わりませんでしたが、2番手は森岡選手となり、3番手 奥村選手、少し離れて4番手の三浦選手以降は集団となって走行。そして、1周目は、増田選手、森岡選手、奥村選手、三浦選手、谷岡選手、古田選手、石井選手、吉田選手、Antonio Ito選手の順でコントロールラインを通過しました。森岡選手は1秒前後のビハインドで増田選手を追走しますが、後方では2周目に谷岡選手が4番手へ、石井選手が5番手へ浮上。6番手には三浦選手がつき、シリーズチャンピオンに最も近い古田選手は、7位へ後退してしまいます。

その後は落ち着いたレース展開を見せていましたが、増田選手との差をやや縮めていた森岡選手が、なんと5周目にマシントラブルでリタイヤしてしまいました。ほぼレースの半分を終えた時点で、トップは増田選手、2番手 奥村選手、3番手 谷岡選手という順位。その後はおおきな変動はなかったものの、最終ラップとなる11周目に石井選手が谷岡選手をとらえ3位に浮上。そのまま表彰台を獲得しました。

こうして第9戦は、増田選手が終始トップを守りきりポール・トゥ・フィニッシュを決め、2位 奥村選手、3位 石井選手、4位 谷岡選手、5位 古田選手、6位 三浦選手、7位 吉田選手、8位 Antonio Ito選手という結果になりました。なお、決勝レース1(第9戦)CPSクラスのファステストラップは、森岡選手が4周目にマークした2分07秒633でした。

優勝した増田選手は、

「マシンのセットアップがぴたりとハマったのと、オンボード映像を何度も何度も見て自分の走りを修正したのが結果につながったと思っています。努力がちゃんと報われるときもありますよね。今日はたくさんの方が観戦されていて、自分のテンションもあがりました。まだシリーズチャンピオン獲得の可能性も少し残っているようですが、プレッシャーは感じていません。しっかり自分の走りをするだけですね」

と次戦への意欲をにじませました。

2位の奥村選手は、

「スタートの第1コーナーで大混乱になりましたが、実は朝からそんな予感がしていたんです。また、後ろにいた森岡選手がロケットスタートを決めてすごく速くてびっくりしました。増田選手も速いですね。もう150以上のレースに出場していると思いますが、それでも2位になってから前をいく増田選手の走りを見ていると『上手だなぁ』と感心しきり。2レース目は、そんな増田選手の走りを参考にして、さらにいい結果につなげたいと思います」

とレースを振り返りました。

3位の石井選手は、

「いろいろなアクシデントがあったレースでしたが、無事に完走できてホッとしています。正直なところをいえば、さらにいい順位で戻ってくることができれば良かったですね。昨年JCWクラスに出場していましたが、マシンが異なるためそれぞれ異なった難しさがあると感じています。決勝レース2はリバースグリッドとなりますが、ぼくは順位と同じ3番手からのスタートです。いけるところがあれば前へ出て、いいレースをしたいですね」

と語ってくれました。

第10戦 決勝


1デイ2レースのフォーマットで行われるMINI CHALLENGE JAPAN.(MCJP)は、2レース目をいかに戦い抜くかも大事なポイント。そんなラウンド5の決勝レース2“第10戦”は、午後3時30分のスタート予定となります。午後になると富士スピードウェイはしだいに風が強まり、日陰では肌寒さを感じるようになりました。レース直前の気温は17℃でしたが、それ以上に下がっている印象。路面温度は15℃と、やはりそれほど高くありません。

さて、MCJPは「リバースグリッド方式」を採用しているのが特徴です。JCWクラス、CPSクラスそれぞれ決勝レース1で上位60%に入ったドライバーがその順位を「ひっくり返して」グリッドにつきます。CPSクラスは9台が出場していますので、9×0.6=5.4で上位5台がこの対象となります。したがってポールポジションには決勝レース1“第9戦”が5位だった古田選手がつき、2番手 谷岡選手、3番手 石井選手、4番手 奥村選手、そして5番手が決勝レース1で優勝した増田選手という順番でスターティンググリッドに並びました。

さらに、6番手 三浦選手、7番手 吉田選手、8番手 Antonio Ito選手、9番手 森岡選手となりますが、森岡選手はマシントラブルにより出走を断念。8台で今季最後の戦い、決勝レース2“第10戦”が争われることとなりました。

予定よりやや遅れ、フォーメーションラップが午後3時45分に始まり、各ドライバーはマシンを左右に振り、前後の加減速も行いタイヤを温めます。そして再びスターティンググリッドにつくと、第10戦は午後3時49分にスタートしました。

ポールポジションの古田選手がしっかりとスタートを決め、先頭で第1コーナーに進入していきます。その後方には2番グリッドの谷岡選手と3番グリッドの石井選手が並びながらコーナーに入り、直後には増田選手が上がってきました。そして第1コーナーを過ぎると、4台を追うように三浦選手、吉田選手、奥村選手、Antonio Ito選手と続きました。コカコーラコーナーを過ぎても谷岡選手、石井選手、増田選手の激しいバトルが続き、増田選手が石井選手を抜いて3番手へ。この間に古田選手がやや後続を引き離していきます。

そしてオープニングラップは2位集団に1.5秒近い差をつけた古田選手が先頭でコントロールラインを通過し、以降は谷岡選手、増田選手、石井選手、三浦選手、古田選手、奥村選手、Antonio Ito選手の順でメインスタンドの前へ戻ってきました。しかし、2周目に入った第1コーナーで谷岡選手を増田選手がかわし2番手へ浮上。谷岡選手も激しくプッシュしますが、増田選手も粘ります。

こうして2周目も目が離せない接近戦が続き、最終コーナー付近では石井選手が谷岡選手の前へ出て3位へ。2番手の増田選手以降の7台はほぼひとつの集団となってコントロールラインを通過しました。以降も谷岡選手と石井選手は大接戦となり、4周目には谷岡選手が3番手を奪還。さらに6周目以降は増田選手との差も縮まり、3台による熾烈な2位争いが繰り広げられました。

そしてファイナルラップとなった12周目。後続のバトルを幸いに5秒半近い差をつけて、古田選手がチェッカーフラッグを受けました。続いてフィニッシュしたのは増田選手でしたが、 3位の谷岡選手との差はわずかにコンマ560。続いて4位 石井選手、5位 奥村選手、6位 三浦選手、7位 吉田選手、8位 Antonio Ito選手の順でレースを終えました。なお、決勝レース2(第10戦)CPSクラスのファステストラップは、石井選手が11周目にマークした2分08秒160でした。

この結果、2021シーズンのシリーズチャンピオンは、合計375ポイントの古田選手が獲得しました。総合2位は362ポイントの増田選手、3位は344ポイントの谷岡選手となっています。

優勝し、シリーズチャンピオンも決めた古田選手は、

「後半戦は上位に食い込めないレースが続いたので、ようやくヒーローインタビューの場に戻ってくることができて嬉しいです。富士は得意としているコースですが、自分自身がマシンにアジャストできていないところがあって、予選、決勝レース1ともに苦しみました。決勝レース1は5位が精一杯。結果的にこれで2戦目がポールポジションとなり、運も味方してくれたと思います。今シーズンは全体のレベルがどんどん上がっていったのを肌で感じています。とても楽しいレースですので、ぜひみなさん一緒に走りましょう」

と喜びを語りました。

2位の増田選手は、

「もしかしたら優勝してシリーズチャンピオンにも手が届くかもしれないと思っていたので、2位はとても悔しいですね。とはいえ5番手スタートでしたから厳しい部分はありました。古田選手にだんだん離されてしまったのは自分のミスで、いい経験をさせてもらいました。本格的なレース系経験がない自分でもここまで戦えたので、成長はできたのかなと思っています。これからレースを始めたい方にはとてもおすすめのカテゴリーだと思います。みなさんも楽しんでみませんか」

とミニチャレンジの魅力も語ってくれました。

3位の谷岡選手は、

「最終ラウンドを通じてセットアップに悩み続けましたが、なんとか2レースともうまくまとめることはできたと思っています。表彰台に上がることができたのは、本当に良かったです。シリーズチャンピオンまではあと一歩およびませんでしたが、やりきりました。CPSクラスはとても楽しめるカテゴリーですが、勝とうとすれば実は奥が深く、難しさを感じますね。応援していただいたみなさん、ありがとうございました。サポートしてくれたチームにも感謝しています」

と話してくれました。

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