【JCW】2021 Season Round.4(第7戦・第8戦) レースレポート

2021年10月3日(日)、「MINI CHALLENGE JAPAN.2021  Rd.4 at 岡山国際サーキット Presented by MINI 岡山 & MINI NEXT 岡山」が開催されました。

終日好天に恵まれ、真夏を思わせる日差しが注いだこともあって気温が上昇。今回はレインタイヤの出番はまったくなさそうですが、路面温度は時間を追うごとにぐんぐんと高まり、予選から決勝2レースを通じて6本しか使えないスリックタイヤのコンディションを上手にマネジメントできるかどうかも、岡山ラウンドの結果を左右しそうです。

岡山国際サーキットは、1周およそ3.7km。メインストレートとバックストレートをつなぐように、大小13のコーナーからなるテクニカルなレイアウトが特徴で、F1も開催された由緒あるコースです。

下り勾配で600mほどのメインストレートを駆け抜け、スピードがのったところから飛び込む第1コーナーが重要なパッシングポイントのひとつ。このほかにも約700mの上り勾配のバックストレート後に待ち受けるヘアピンコーナー、さらにリボルバーコーナー&パイパーコーナーと続くダブルヘアピンなどでも熱いバトルが繰り広げられるはずです。

今回は予選および決勝2レースすべてが1日のスケジュールで組まれ、まず公式予選が午前9時15分から20分間行われます。そして決勝レース1(第7戦)が午前11時、決勝レース2(第8戦)が午前2時30分から、それぞれ20分間+1周で争われます。

また、このラウンドはMINIの正規ディーラーであるMINI 岡山がサポート。さらにMINI 岡山が主催する「MINI LOVERS」も同時開催となり、たくさんのミニ・ファンが集う華やかなイベントとなりました。なかでもミニ・オーナー自らステアリングを握り、ずらりと並んだミニがコースを周回するパレードランは圧巻。普段はなかなか走る機会のないサーキットの走りを堪能しました。

Round.4  JCWクラスのエントリーは、

#2 後藤 比東至 選手(EX-FORM RACING/EX-FORM F56JCW)
#9 平田 雅士 選手(RH.SAKAI with HIRATA.AC/IDI 平田空調 RH坂井F56JCW)
#17 鈴木 建自 選手(バースレーシングプロジェクト【BRP】/BRP★MINI F56JCW)
#57 阿部 良太 選手(TeamAbeMotors/TeamAbeMotorsF56JCW)
の4名となりました。

JCWクラスは、3ラウンド、6戦を終えた時点で稀にみる混戦模様となっています。今季優勝経験のある後藤選手と平田選手が、それぞれ1戦ずつ欠場したことも影響していますが、昨年モータースポーツの世界に飛び込んだばかりの鈴木選手と阿部選手がめざましいスキルアップを見せていることも見逃せません。シリーズチャンピオンに向け各ドライバーがどのような戦いを見せてくれるのか、ぜひ注目したいところです。

昨年の岡山では、シリーズチャンピオンにも輝いた松本武士選手がホームコースということもあり、予選、決勝2レースを完全制覇する圧倒的な強さを見せつけました。松本選手は今季チームサポートに回っていますが、そんな絶対王者不在の岡山で確実にポイントを稼ぎ、一歩でも二歩でもチェンピオンに近づきたいのが後藤選手。しかし、Rd.2 鈴鹿で2勝を挙げている平田選手もこの岡山が地元で意地を見せるはず。決勝レースの戦いだけでなく、予選におけるタイム争いも大いに気になります。

予選


午前9時15分、予定通りに公式予選が始まりました。朝方に冷え込んだため、スリックタイヤを温めるのに手こずるかもしれないと懸念されましたが、予選開始直前には気温21度、路面温度30度というコンディション。どうやらグリップを立ち上げるのに苦労することはなさそうです。

まずは平田選手が先頭でコースイン。これに後藤選手、阿部選手と続き、少し間を置いて鈴木選手もスタートしました。

後藤選手は前戦、8月のSUGOでも行ったように、今回もアウトラップ+1周でタイヤを温めたのちにピットインすると、フロントタイヤのみ新品に交換。季節にかかわらずルーティンとした作戦でアタックに臨みます。

平田選手、阿部選手、鈴木選手はピットインせず徐々にペースを上げ、3〜4周目でタイムを出す作戦をとっている様子。そして、まず平田選手が3周目に1分45秒892のタイムをマークしましたが、直後に同じく3周目の鈴木選手が1分45秒834とすぐに記録を塗り替えました。すると平田選手も負けていません。4周目に1分45秒717で再度トップに立ちますが、直後に鈴木選手が1分45秒072をマーク。順位が目まぐるしく入れ替わる展開となりました。

その後、2台はピットインしますが、平田選手はもう一度アタック。1分45秒231までタイムを縮めたものの鈴木選手には届きません。一方、阿部選手は周回ごとにタイムを更新し、6周目には1分47秒206を出しています。昨年は岡山ラウンドに参戦していなかったため、このコースでは初のレースとなりますが、決勝が実に楽しみなパフォーマンスを見せてくれました。

さて、この間にタイヤ交換を終えた後藤選手がコースへ戻りました。そして4周目となる1回目のアタックは1分44秒385、さらに5周目で1分44秒322ヘとタイムを縮め予選を終了しました。これによりJCWクラスは、みごと後藤選手がポールポジションを獲得。そして2番手 鈴木選手、3番手 平田選手、4番手 阿部選手という結果となりました。

ポールポジションを獲得した後藤選手は、

「事前のシミュレーションでは1分43秒台を狙っていましたが、そう上手くはいきませんね。けれど、結果には満足しています。昨年よりタイムを縮めることができたのは、MCJP JCWクラス専用に開発されたダンロップタイヤがマシンによく合っているからだと思います。岡山は力量も試されますが、攻め甲斐のある楽しいサーキットです。決勝レースに向けてしっかり準備して、勝利を手にできればと思います」

と決勝レースに向けて意欲を滲ませました。

第7戦 決勝


予選を終えてから2時間あまり、いよいよ決勝レース1(第7戦)が始まります。フォーメーションラップを終えて各車がメインストレートに戻ってきた頃には、汗ばむほどの陽気で気温は25度、そして路面度は40度を超え、戦闘力を落とさないためにはタイヤのいたわり方もカギになりそうです。JCWクラスは、後藤選手、鈴木選手、平田選手、阿部選手の順でスターティンググリッドにつき、その時を待ちます。そして午前11時3分、戦いの幕が切って下ろされました。

するとスタートはあまり得意でないと公言している後藤選手が一瞬出遅れてしまいます。もう少しでエンジンストールというところでなんとか前へ進みますが、素晴らしいダッシュを見せた平田選手がアウト側から、そして鈴木選手にもインを突かれ、第1コーナー手前で2台の先行を許してしまいました。こうして平田選手がトップに立ち、2番手 鈴木選手、3番手 後藤選手、4番手 阿部選手の順でバックストレートに入ります。

後藤選手はバックストレートエンドからヘアピンコーナーにおいて鈴木選手に仕掛け、ここで2位に浮上。こうして1周目は平田選手、後藤選手、鈴木選手、阿部選手の順でコントロールラインを通過しました。この時点で平田選手のアドバンテージは2.4秒ほどでしたが、2周目にはその差が3秒以上に開き、平田選手が逃げ切る体制を整えるかに見えました。しかし、ここで後退するわけにはいかない後藤選手は、3周目以降じわりじわりと差を詰めていきます。

5周目を終えると2台の差は2秒を切り、7周目には0.4秒と肉薄。岡山国際サーキットを知り尽くした平田選手も粘りますが、ついに11周目に後藤選手がヘアピンコーナーで並び、続くダブルヘアピンで平田選手を抜いてトップに立ちました。12周目、そしてファイナルラップとなった13周目と、平田選手も諦めず僅に差で追走しますが、後藤選手が守り抜き優勝。そして2位 平田選手、3位鈴木選手、4位 阿部選手という結果となりました。なお、決勝レース1(第7戦)JCWクラスのファステストラップは、後藤選手が6周目にマークした1分45秒200でした。

優勝した後藤選手は、

「スタートはクラッチミートをミスして、エンジンストール寸前でした。実はスタートってあまり上手くないんです。路面温度が上がってきたので、後続を離し余裕をもって周回し、タイヤを保たせようと考えていましたが、まったく想定外の展開に。しかも先行した平田選手と鈴木選手のペースが速くて、けっこう焦りました。なんとかトップに立つことができましたが、いま振り返ればとても楽しいバトルでした」

とレースを振り返りました。

2位の平田選手は、

「3番グリッドだったので、なんとか早めに前へ出て逃げ切ることができればと考えていました。とは言え、スタートで一気に前へ出られたのには、私もびっくりです。前日の練習走行からセットアップがなかなかうまくいかず、予選でもタイヤを使ってしまい悩み続けていましたが、徐々にいい方向へ向かっていると思います。決勝レース2はポールポジションからのスタートなので、今度こそ逃げ切りたいですね」

と話してくれました。

3位の鈴木選手は、

「フロントローからのスタートでしたが、後藤選手がスタートで出遅れ、“えっ、ぼくがトップ!?”なんてびっくりしていたら、中央から平田選手にぶち抜かれてしまいました。けれど成長しているからこそ、こんな経験ができるんですよね。レース中でも前方を走るマシンを観察しながら、こう走るのかと参考にしたりしています。とにかく1戦、1戦に集中して戦い抜きますので、ぜひ注目してください」

と自身の走りに手応えを感じていました。

第8戦 決勝


決勝レース2(第8戦)は、午後2時30分にオープニングラップが始まり、各車スターティンググリッドに整列。この時点での気温は27度、そして路面温度は45.7度と決勝レース1よりもさらに上がり、真夏に近いコンディションとなりました。

「リバースグリッド方式」を採用するMINI CHALLENGE JAPANは、JCWクラス、CPSクラスそれぞれ決勝レース1で上位60%に入ったドライバーがその順位を「ひっくり返して」グリッドにつきます。JCWクラスは4台の出場ですから、4×0.6=2.4となり、上位2台が入れ替わることになります。このため、ポールポジションは平田選手、2番手 後藤選手、3番手 鈴木選手、そして4番手 阿部選手の順でスターティンググリッドに並びました。

そして予定よりやや遅れて午後2時33分にスタート。各車きれいにスタートしましたが、抜群のタイミングでクラッチミートした平田選手がそのままトップで第1コーナーを抜けレースをリードします。そしてオープニングラップは、平田選手、後藤選手、鈴木選手、阿部選手というグリッド順のままコントロールラインを通過しました。

2周目も順位は変わりませんが、僅差で走行する平田選手、後藤選手、鈴木選手は、平田選手が1分46秒616、後藤選手が1分46秒828、そして鈴木選手が1分46秒742というラップタイム。平田選手が差を広げ、鈴木選手が後藤選手に迫る勢いを見せ、その後の展開が見逃せない状況となります。ところが鈴木選手にスタートでシグナル消灯より早く動いてしまうジャンプスタート(反則スタート)の判定が下され、ピットレーンを通過するドライブスルーペナルティが科されます。鈴木選手は3周目にこれを実施し4位へと後退、トップから25秒近く遅れをとってしまいました。

ここで阿部選手が3位へと浮上しますが、その直後の4周目に思わぬトラブルが待ち受けていました。阿部選手のマシンのドライブシャフトが損傷し、リタイヤを余儀なくされたのです。一方この間に後藤選手のペースが上がりはじめ、3周目から6周目には平田選手との差をコンマ7秒台まで詰め、追撃態勢に入ります。そして8周を終えたところで2台の差は0.291秒。9周目に入るとさらに後藤選手が強烈なプレッシャーをかけ、バックストレートからヘアピンコーナーにかけて仕掛けると、平田選手を抜いてついにトップに立ちました。

後藤選手はその勢いのまま10周目、11周目に差を広げていきますが平田選手も諦めません。12周目、そしてファイナルラップは巻き返し、後藤選手のすぐ後ろまで迫って逆転を狙いましたが、戦いはそこまで。後藤選手が逃げ切り、岡山ラウンドにおいて2連勝を飾りました。

一方、鈴木選手は大きく開いてしまったタイム差を縮めることはできなかったものの、後藤選手、平田選手に遜色ないラップタイムを刻み続け3位でフィニッシュ。最終戦となるRd.5 富士における活躍に期待を抱かせる走りを見せてくれました。なお、決勝レース2(第8戦) JCWクラスのファステストラップは、後藤選手が3周目にマークした1分46秒199でした。

2連勝を飾った後藤選手は、

「決勝レース2はほんとうに楽しくバトルができました。平田選手が速いので、すぐには抜けないと思っていましたが、苦労しました。そのあともすぐ後ろまで追いつかれて、簡単には勝たせてもらえませんでした。最終ラウンドの富士はぼくにとってホーム的なコースなので、予選と2レースを完全制覇して念願のシリーズチャンピオンを獲得したいですね。MCJPはワンメイクレースならではの熱戦が楽しめます。ぜひ多くの方々に観戦していただきたいですね」

とレースを振り返りました。

2位の平田選手は、

「スタートをしっかり決めて、レースをリードするつもりだったのですが、いやぁダメでしたね。とにかく後藤選手が速いです。9周目にヘアピンで前へ行かれてからも、諦めることなく最後までもうワンチャンスあると信じていたのですが・・・ 終盤にCPSクラスのマシンを周回遅れにする場面でも、そこで抜ききるのはやはり難しかったです。次戦こそ後藤選手の前を走る、これが目標です」

と話してくれました。

3位の鈴木選手は、

「2周目までは順調だったのですが、またジャンプスタートをしてしまいました。でもドライブスルーペナルティで後退するまでは、後藤選手、平田選手についていくことができて、それはとても楽しい時間でした。レースを始めてたくさんの出会いがありましたが、モータースポーツを関わっていらっしゃるみなさんはみんな目がキラキラしています。私もライフスタイルに大きな変化がありましたが、そんなところもレースの魅力と感じています」

とMCJPを満喫しているようでした。

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