【JCW】 Round.5 (第9戦・第10戦) レースレポート

2020年12月13日(日)、MINI CHALLENGE JAPAN.2020 Round.5が、静岡県の富士スピードウェイで開催されました。
今シーズンは開幕戦こそスケジュールが変更されたものの、初戦となったRound.2が7月に開催されてからは順調にレースが行われ、いよいよ最終戦となるRound.5を迎えました。

8月2日のRound.1以来、2度目の富士スピードウェイでの戦いとなりますが、たくさんのミニファンがワンメイクレースならではの熱いバトルを目に焼きつけるため観戦に訪れ、出場選手はみな気合い十分。天候にも恵まれ、シリーズを締めくくるには申し分のない舞台が用意されました。

さてRound.5 JCW クラスのエントリーは、
#7 石井一輝選手(ダイワグループ)
#9 三浦 愛選手(IDI RACING)
#17 鈴木建自選手(バースレーシングプロジェクト【BRP】)
#57 阿部良太選手(Team AbeMotors)
の4名となっています。

他の上位カテゴリーが振替開催によって本大会と同スケジュールとなったため、バースレーシングプロジェクト【BRP】の松本武士選手と、EX-FORM RACING TEAMの後藤比東至選手が残念ながら欠場。これにより、開幕から8戦全勝という圧倒的な強さを見せつけた松本選手が、Round.4終了時点でシリーズ2位につけていた後藤選手に逆転されることはなくなり、Round.5の結果を待たずにJCW クラス シリーズチャンピオンを手中に収めています。

それでも最終戦は見どころ満載です。まず注目されるのはRound.1で素晴らしい走りを披露してくれた三浦 愛選手が、再びIDI RACINGから参戦することでしょう。6シーズン連続で全日本F3選手権を戦ってきた三浦選手は、Round.1で2位と3位を獲得。FFのレーシングマシンには不慣れだったものの手応えを感じていたそうで、Round.5ではさらなる活躍を期待したいところです。

一方、毎戦異なる“社員ドライバー”で挑んできたダイワグループは、Round.2を走った石井一輝選手にステアリングをゆだねることになりました。同様に今季からモータースポーツの世界に飛び込んだ鈴木建自選手や阿部良太選手との戦いからも目が離せません。

予選


公式予選はスケジュール通り、午前8時30分から20分間行われました。JCW クラスは三浦選手、阿部選手、石井選手、鈴木選手の順でコースイン。石井選手は1周でピットに戻ると、前後タイヤを入れ替えて再スタートしました。続いて三浦選手もピットインし、前後タイヤの入れ替えを行っています。

クーパーS クラスが序盤から好タイムをマークしたのとは対照的に、JCW クラスのマシンはじっくりとタイヤに熱を入れてからアタックを開始。まずはピットインせずに走り続けことでタイヤを温めた鈴木選手が6周目に2分02秒050を出すと、その後コースに戻った三浦選手が2分00秒018をマーク。さらに石井選手が2分01秒314と、それぞれタイムを縮めていきました。また、阿部選手も周回を重ねるごとにペースを上げ、後半は2分05秒台のタイムをコンスタントにマークします。

ここから、さすがと思わせたのは三浦選手。6周目にラクラクと2分を切り1分58秒594、そして次の周回では1分58秒467を叩き出し、実力通りの速さを見せつけポールポジションを確実なものとしました。

接戦となったのは、鈴木選手と石井選手です。終盤に2分00秒台のタイムで2位と3位がめまぐるしく入れ替わる展開となりましたが、石井選手が7周目となるアタックで1分59秒823とついに2分を切り2番手へ。するとその直後、鈴木選手も最後に1分59秒745を出し、わずかコンマ078秒差で逆転。こうして、1位 三浦選手、2位 鈴木選手、3位 石井選手、4位 阿部選手という予選結果となりました。

ポールポジションを獲得した三浦選手は、

「また参戦できてとても嬉しいです。8月のRound.1ではFF車でレースをした経験がなかったため戸惑いがありましたが、マシンにも少しずつ慣れてきましたし、まだまだ詰められる部分はあると思うので、決勝レースではより高いレベルの走りを見せたいですね。路面温度が低いので、Round.1よりもさらにリアタイヤが温まらないのですが、なんとか序盤にリードを広げることができればと考えています。焦らず落ち着いて、自分自身のパフォーマンスを出し切り、ポール・トゥ・ウィンで勝ちたいですね

と決勝レースに向けた抱負を語りました。

第9戦 決勝


公式予選は冷え込みが厳しく気温は一桁台でしたが、午前11時には気温12.5℃、路面温度16.3℃、さらに決勝レース#1(第9戦)直前の11時20分には気温13.4℃、路面温度18.2℃と短時間で急上昇。レース中にも暖かくなりそうで、これがレースにどう影響するかも気になります。

さて、公式予選では最後にタイムを出して2位に浮上した鈴木選手でしたが、その後ピットレーンの速度規制違反により、1グリッド降格のペナルティが科され、1番手 三浦選手、2番手 石井選手、3番手 鈴木選手、4番手 阿部選手の順でスターティンググリッドにつきました。

11時24分に各車一斉にスタート。鈴木選手がいいスタートを切ったように見えましたが、石井選手がなんとか抑え込み、第1コーナー(TGRコーナー)は三浦選手、石井選手、鈴木選手、阿部選手の順でクリアします。三浦選手は1周目から少しずつリードを広げていきますが、石井選手と鈴木選手はテール・トゥ・ノーズのバトルが続きました。そしてダンロップコーナーで鈴木選手が石井選手を抜いて2位へ浮上。1周目は、三浦選手、鈴木選手、石井選手、阿部選手という順位でコントロールラインを通過しました。

2周目も鈴木選手と石井選手の激しい2番手争いは続き、今度はアドバンコーナーで石井選手が前へ。その後は少しずつ石井選手が間隔を広げていきます。さらに鈴木選手にはフライングスタートによるドライビングスルーペナルティが科されてしまいます。鈴木選手は4周を終えたところでピットレーンを通過し、ペナルティを消化。この時点で鈴木選手は4位となりましたが、それでもあきらめず反撃体制に移ります。7周目に入る第1コーナーで、阿部選手を抜いて3位へ。しかし、石井選手との差はまだかなりありました。

一方、三浦選手は1周目で後続に2秒以上の差をつけると、2周目に4.6秒余りと差を広げ完全なひとり旅。1分58秒から59秒台でラップを刻み周回を続けます。

そして後半は各車の間隔が開いたため、このままの順位でレースが終わるかと思われましたが、なんと2番手を走行していた石井選手が7周目にスローダウン。マシンのドライブシャフトが折れてしまったため、そのまま無念のリタイヤとなりました。

結局、三浦選手が2位に1分以上の差をつけて見事ポールトゥフィニッシュ。嬉しい初優勝を飾りました。2位はペナルティにより最後尾から追撃した鈴木選手、そして3位は初の表彰台となる阿部良太選手というレース結果となりました。なお、決勝レース#1(第9戦)JCWクラスのベストタイムは、三浦選手の1分58秒789でした。

優勝した三浦選手は、

「大きなトラブルはなく走行できましたが、後半はタイヤのグリップが低下してブレーキングが難しくなり、スピンしそうになったこともありました。路面温度が上昇して最初からグリップしてくれたのですが、その反面、後半はタイヤがたれてしまったようですね。
MINI CHALLENGE JAPANに参戦しているドライバーは、みなさん紳士的な方ばかりでとても気持ちよく走れます。Round.1では松本選手がいろいろとアドバイスしてくださいました。ほんとにいい雰囲気です。
決勝レース#2はリバースグリッドで2番グリッドからのスタートとなりますが、クリーンなバトルで勝ちにいき、笑顔で終われるようにしたいですね

とレースを振り返りました。

2位の鈴木選手は、

「スタートは大失敗してしまいましたし、その後は石井選手とのバトルもあるなど、目まぐるしく状況が変わっていくレースでした。最終的にはいい結果となりましたが、これに満足せずに、決勝レース#2に向けて気を引き締めたいと思います。
まったくの経験ゼロでモータースポーツの世界に飛び込みましたが、自分でも成長したと実感しています。いま頭の中は、レースのことでいっぱいです。
JCW クラスのチャレンジカーは本格的なレーシングマシンですが、それだけに乗りこなせば大きな楽しさを感じることができます。より多くのジェントルマンドライバーに、この魅力を知ってほしいですね

と語りました。

3位の阿部選手は、

「今日は、MINI大田や世田谷でもYouTubeのライブ配信を見てもらっていますが、表彰台に上がることができて本当によかったです。人生初のモータースポーツで、わからないことばかりでしたが、そんな中でもレースを存分に楽しんでいます。
正規ディーラーチームとして、会社のスタッフとともに参戦していますが、レースはみんな素人。ここまでしっかりした体制を作り上げることができたことを、誇りに思います。
金曜日の練習走行から、三浦選手にいろいろとアドバイスをいただきました。効果てきめんでしたね

と話してくれました。

第10戦 決勝


決勝レース#1(第9戦)は予選に比べるとぐんと気温が上がりましたが、午後2時15分スタート予定の決勝レース#2(第10戦)が近づくにつれ、肌寒さが強くなってきた印象。空を覆う雲も多くなり、気温は11℃台に逆戻りしてしまいました。

“リバースグリッド方式”を採用するMINI CHALLENGE JAPANは、各クラスにおいて決勝レース#1で上位60%に入ったドライバーがその順位を「ひっくり返して」グリッドにつきます。JCWクラスは4台の出場ですから、1位と2位のグリッドが入れ替わり、ポールポジションは鈴木選手、2番手 三浦選手、3番手 阿部選手、4番手 石井選手の順となりました。フォーメーションラップでは、路面温度が下がったことを受けて左右にマシンを振り、加減速も繰り返し、各車とも念入りにタイヤを温めます。

決勝レース#1(第9戦)は予選に比べるとぐんと気温が上がりましたが、午後2時15分スタート予定の決勝レース#2(第10戦)が近づくにつれ、肌寒さが強くなってきた印象。空を覆う雲も多くなり、気温は11℃台に逆戻りしてしまいました。

“リバースグリッド方式”を採用するMINI CHALLENGE JAPANは、各クラスにおいて決勝レース#1で上位60%に入ったドライバーがその順位を「ひっくり返して」グリッドにつきます。JCWクラスは4台の出場ですから、1位と2位のグリッドが入れ替わり、ポールポジションは鈴木選手、2番手 三浦選手、3番手 阿部選手、4番手 石井選手の順となりました。フォーメーションラップでは、路面温度が下がったことを受けて左右にマシンを振り、加減速も繰り返し、各車とも念入りにタイヤを温めます。

そして午後2時19分に決勝レース#2が始まりました。まずは百戦錬磨の三浦選手が絶妙のタイミングでスタートし、その後もぐいぐいと加速。あっという間にトップへ躍り出て、そのまま第1コーナーへ飛び込みます。鈴木選手もスタートは悪くなかったのですが、石井選手にもかわされ、3位へ後退。そのあとに阿部選手が続きました。1周目はこのままの順位でコントロールラインを通過し、まだタイヤが温まりきらない状況でも三浦選手が徐々に後続を引き離していきます。2周を終えたところで、1位 三浦選手と2位 石井選手の差は4秒台。石井選手も必死に食らいつきますが、三浦選手は2周目ですでに1分59秒台をマークしており、次第に差が広がっていきます。

一方、阿部選手は3周目に入り、第1コーナーに向けてブレーキングしたところでスピンを喫し、コース上で止まってってしまいましたが、再スタートを切ることができ再び追い上げを図ります。

その後は順位に変動はなく三浦選手は3周目には1分58秒台をマークし、さらにリードを広げます。2位 石井選手と3位 鈴木選手の間隔も少しずつ開いていきましたが、4周目に入ると鈴木選手がペース上げて石井選手に迫り、その後も2台の差は1秒前後で推移。しかし、鈴木選手が石井選手を捉えるまでには至りません。

そしてレース後半もこの順位のまま周回が進み、三浦選手は最終ラップでもセクター2で自己ベストを記録するなど、その勢いに衰えをみせず、石井選手に10秒余りの差をつけてチェッカーを受け2連勝を飾りました。2位は決勝レース#1の悔しさをバネに快走した石井選手、そして3位 鈴木選手、4位 阿部選手という結果となりました。なお、決勝レース#2(第10戦)JCWクラスのベストタイムは、三浦選手の1分58秒992でした。

2連勝を飾った三浦選手は、

「決勝レース#1よりもタイヤのパフォーマンスが安定していて、走りやすさを感じました。序盤はあまり無理をせず、コンスタントにタイムを揃えることを心がけました。けてど、石井選手が迫ってくることもあり、少し焦った場面もありました。
今年はさまざまなカテゴリーに参戦し、自分の引き出しを増やすことができた有意義なシーズンだったと思います。YouTubeも始めましたので、みなさんぜひご覧になってくださいね。
2020年は今日が最後のレースで、2連勝で締めくくることができ、笑顔で年を越すことができるかなと思います。たくさんの応援、ありがとうございました」

と喜びを語りました。

2位の石井選手は、

「決勝レース#1は確かな手応えを感じていたので、リタイヤとなったときには涙が出ました。」
その悔しさを晴らすべく決勝レース#2に臨みましたが、2位は自分の今のパフォーマンスをすべて出し切った結果だと納得しています。チームの期待にも応えられたのではないかと思います。
MINI CHALLENGE JAPANに参戦したことは、子どもの頃からモータースポーツに憧れていた私にとって、とても貴重な経験となりました。個人的には同じようなチーム体制で、来年も参戦できればうれしいですね

とホッとした様子でした。

3位の鈴木選手は、

「ポールポジションからのスタートというのはとても新鮮でした。見慣れない景色でしたが、いい経験になりましたね。チームの奥村代表からは、とにかく完走するようにとアドバイスを受けていましたので、慎重に、やや抑え気味に走りました。3位という結果には満足しています。
新しい挑戦をスタートさせたことで、今年はたくさんの出会いがありました。そして新たな発見もありました、レースは本当に楽しいですね。来年もさらに成長できるようがんばりますので、よろしくお願いします

と話してくれました。

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