【CPS】 Round.3 (第5戦・第6戦) レースレポート

2020年8月23日(日)、MINI CHALLENGE JAPAN.2020 Round.3が宮城県のスポーツランドSUGOで開催されました。
2020シーズンの折り返しとなるRound.3は、MINI正規ディーラー“モトーレン仙台”のサポートを受けて開催。1デイ2レース、決勝レース#2でリバースグリッド方式を採用するレースフォーマットに変更はなく、第5戦と第6戦が行われます。

ミニチャレンジ発祥の地である英国で、専用に開発されたチャレンジカーで戦うJCW クラスは5台のマシンが出場。またF56 MINIクーパーS 3ドアハッチバックをベースにしたナンバー付き車両で争われるクーパーS クラスも5台が、日本屈指のテクニカルコースでバトルを繰り広げます。

アップダウンが続き、コース幅が比較的狭いものの、中高速コーナーがいくつも待ち受けるスポーツランドSUGOは、恐怖心に打ち勝ってマシンのパフォーマンスを使い切るような走りが求められるサーキットです。さて、今年はどのようなドラマが待っているでしょうか。

また、Round.3 クーパーS クラスエントリーは、

#4 谷岡 力選手(楽しく走ろう.com)
#6 伊藤聡夫選手(CLUB PAZZO ARIIX RACING)
#27 諏佐憲二選手(adidas motorsport a-uint)
#30 白戸次郎選手(楽しく走ろう.com)
#337 瀧井厚志選手(D.D.R)

となっています。

谷岡選手と白戸選手は初参戦。ふたりとも“楽しく走ろう.com”チームからのエントリーで、白戸選手はマニュアルミッション車でチャレンジします。実はクーパーS クラスに参戦するマシンは、オートマチックトランスミッション(AT)、マニュアルトランスミッション(MT)搭載車のどちらを選んでもOK。パドルシフトを採用し、操作が素早く行え、ミスも少ないATが人気ですが、伊藤選手と白戸選手は操る楽しさが堪能できることからMTを選んでレースに挑みます。

予選


8:30スタートの予選は、伊藤聡夫選手、諏佐憲二選手が先陣を切ってコースイン。そして初参戦の谷岡 力選手、白戸次郎選手が続き、瀧井厚志選手は少し遅れてピットを出ました。

まずはタイヤをしっかりと温めるJCWクラスとは異なり、クーパーSクラスのマシンは序盤から積極的にアタック。そして瀧井選手が最初のアタックで1分43秒989の好タイムをマークしました。
これに谷岡選手と伊藤選手が44秒台で肉薄。また白戸選手は3周目に1分46秒953、諏佐選手も4周目に1分47秒324を出し、クーパーSクラスはかなりの混戦模様となります。

そんな中、谷岡選手は3周を終えてピットイン、空気圧をチェックしてコースに戻ると、6周目に1分43秒678をマークして瀧井選手を抑えトップに躍り出ました。
Round.2で2連勝を飾った伊藤選手は1周目に1分44秒962を出してからなかなかタイムを縮めることができません。また、瀧井選手も以降はタイムが伸び悩みます。

そして残り2分というところで、JCWクラスのマシンがコースアウトし赤旗中断。再開されたもののコースに戻るマシンはなく、初参戦の谷岡選手がポールポジションを獲得。2番手は瀧井選手、3番手は伊藤選手、4番手は白戸選手、5番手は諏佐選手という予選結果となりました。

初参戦でクーパーS クラスのポールポジションを獲得した谷岡選手は、

「1周目からアタックしようと思ったのですが、前のクルマに引っかかってしまったので、1回ピットインして空気圧をチェックしてから仕切り直しました。1〜3位まではタイムが拮抗していますが、トップのまま逃げ切るつもりです。そして2連勝できたら、うれしいですね。」

「スーパー耐久にも出場しているのですが、MINIはそこで乗っているフィットとは違いいろいろな電子制御が利くので、ある意味FF車であることを意識せずに走らせることができます。まだ自分の手足のように走らせる自信はありませんが、MINIに合った走りをしてタイムを縮めようと努力しています。」

「クルマがとても安定していて、マニュアルとATを選べ、ナンバー付き車両ということで、これからレースを始めたいという方にはとてもおすすめのカテゴリーです。たくさんの方々に参加していただきたいですね。」

とMINIによるレースの魅力を語ってくれました。

第5戦 決勝


11時30分過ぎ。各車コースインすると、JCW クラスを前方に臨みながら5台のMINIがスターティンググリッドにつきます。
メタリックなピンクと黒のカラーリングが印象的なMINIを駆る谷岡選手がポールポジション。2番手 瀧井選手、3番手 伊藤選手がスタートでのジャンプアップを狙い、4番手に白戸選手、現在のポイントリーダー、諏佐選手は5番グリッドからの追い上げとなります。

11時46分、一斉にスタート。JCWクラスの鈴木選手、松本拓也選手に肉薄するように、谷岡選手と瀧井選手がイン側から1コーナーへ。これに対して伊藤選手はアウトから一気に2台を抜きにかかり、トップの谷岡選手は捉えられなかったものの、瀧井選手を抜いて2番手に上がりました。そしてその後方には諏佐選手、白戸選手が続きます。
1周目序盤は、谷岡選手、伊藤選手、瀧井選手が激しく争い、そのままコントロールラインを通過。続いてポジションをひとつあげた諏佐選手がが4位、さらに5位が白戸選手というオープニングラップとなりました。

2周目に入ると谷岡選手が徐々に後続を引き離していきますが、その一方で2番手争いは熾烈。2位 伊藤選手を3位の瀧井選手が強烈にプッシュ。抜きつ抜かれつのバトルを繰り広げます。また、4位 諏佐選手、5位 白戸選手も僅差のままレースが進みます。

谷岡選手は4周目には 2位の伊藤選手に4秒460差をつけ、さらにその差を広げます。1分46、47秒台でラップを刻み、7周目には10秒以上、10周目には20秒以上のアドバンテージを得るという、盤石の走りを見せました。

一方、8周目に伊藤選手が1コーナーで飛び出してしまいました。すぐにコースへ戻ったものの、5位に後退。伊藤選手はブレーキトラブルを抱えているようで走りにくそうな様子を見せますが、上位を追い上げる勢いに変わりはありません。
また、11周目には諏佐選手、白戸選手、伊藤選手が激しく3位を争い、団子状態から伊藤選手が白戸選手を捉えまず4位へ。そして13周目に諏佐選手もかわし、伊藤選手は3位まで順位を回復しました。

そして13周でレースは終了。2位を27秒近く離して谷岡選手が優勝。2位は瀧井選手、3位は伊藤選手、4位は諏佐選手、5位は白戸選手という結果となりました。

なお、ベストラップは谷岡選手が2周目に記録した1分45秒453でした。

初参戦、初優勝をきめた谷岡選手は、

「チームオーナーや周囲から、レースの経験があるから勝って当たり前のようなプレッシャーをかけられていたので、ホッとしています。スタートに不安があったのですが、1コーナーに最初には入れたので、これはいけると思いました。」

MINIは電子制御が入るので、とても安全なのですが、速く走らせることについてはコツのようなものがあり慣れも必要ですね。次は3番手からのスタートですが、周回の中で少しずつ丁寧にポジションアップしていければと思います。MINIはかわいくておしゃれだなと思っていましたが、私の乗るマシンはさらに目立つカラーリングなので、恥ずかしくない走りをしたいと思います。」

と笑顔で話してくれました。

第6戦 決勝


第5戦の結果を受け、ポールポジションは伊藤選手、2番手 瀧井選手、3番手 谷岡選手、4番手 諏佐選手、5番手 白戸選手の順で、スターティンググリッドについたクーパーS クラス。善戦するもマシンに問題を抱えていた伊藤選手が、ポールからどのような走りを見せてくれるかも気になるところです。

15時22分一斉にスタート。前方のグリッドにつくJCWクラスの鈴木選手がエンジンストールでスタートできず立ち往生。それをすぐ後ろの瀧井選手が左からかわして、最初に1コーナーへ飛び込みます。
そして瀧井選手のすぐ後ろに、伊藤選手と谷岡選手、少し離れて諏佐選手、白戸選手の順で1コーナーをクリアしました。

1周目は瀧井選手がトップ、2番手 伊藤選手、3番手 谷岡選手の順でメインスタンド前に戻ってきましたが、3台の差はほとんどありません。しかも3台は、松本武士選手、後藤選手に続いてオーバーオールで3位、4位、5位を走行。4周目まで、この順位のままレースが進みます。ナンバー付き車両とは言え、クーパーS クラスのマシンはストレートで200km/h近いスピードを出せるほどのハイパフォーマンス。その実力は侮れないのです。

さて、2位 伊藤選手は速さを見せるもののやはりマシンの挙動が不安定で、谷岡選手に強烈にプッシュされます。そして6周目、ついに谷岡選手が2位へ。この時点で、トップの瀧井選手と2位 谷岡選手には3秒ほどの差がありました。

一方、伊藤選手は8周目に1コーナー飛び出すなど、やはりブレーキが厳しい様子。9周目には白戸選手が伊藤選手をかわして3位に浮上。さらに10周目に諏佐選手が伊藤選手を抜いて4位へ。

そして、優勝争いも激しさを増していました。瀧井選手と谷岡選手の差は、9周目に1秒792まで縮まり、さらに11周目にその差はコンマ455。谷岡選手があと一歩のところまで迫りましたが、13周目の最終周を瀧井選手しっかりが守り切り初優勝を飾りました。2位は谷岡選手、そして白戸選手が3位表彰台をゲット。4位 諏佐選手、5位 伊藤選手という結果となりました。

なお、ベストラップは谷岡選手が2周目に記録した1分45秒063でした。

うれしい初優勝を飾った瀧井選手は、

「接戦だったので、興奮冷めやらないという感じです。そして安堵もしていますね。妻と娘が応援にきてくれていたんですが、いいところが見せられてよかったです。初戦のツインリンクもてぎでは残念ながら出場できず、代役の冨林選手が2連勝して、ちょっとプレッシャーだったんですが、これで肩の荷が下りました。クーパーSクラスは今年スタートしたカテゴリーなので、いろいろ探りながら走らせている感じです。
菅生は以前走ったことのあるサーキットでしたし、レーシングシミュレーターのお店を経営しているので、だいぶ走り込んできました(笑」


「シミュレーターでは、1分44秒5がベストだったんですが、予選で1分43秒9が出てとてもビックリ。気分が良かったですね。また昨日の練習走行よりも1秒タイムアップもしていました。
2レース目は描いていたとおりのスタートができ、楽しみながら走れました。JCW クラスのバトルを邪魔せずに走行できたのもよかったです。
ここまできたらチャンピオン狙って頑張りたいと思います。MCJP事務局、チームのメカニックのみなさん、応援をいただいた方々、いろんな方のおかげで優勝できました。ほんとうにありがとうございました。」

と喜びを語りました。

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