Round.2(第3.4戦)予選・本選レポート

 

2020年7月12日、「MINI CHALLENGE JAPAN(MCJP)」の2020シーズンがついにスタート。
当初は5月に予定されていたものの延期となった「Round.1」も、8月2日(日)に富士スピードウェイでに行われることが決定し、
全5ラウンド、10戦でシリーズチャンピオンを決めることに変わりはありません。

MCJPは、ミニチャレンジ発祥の地、イギリスで開発された本格的なレース車両“チャレンジカー”による
ワンメイクレースとして開催され、今年で4年目となります。
チャレンジカーはF56 MINI JCWをベースにしているとは言え、ボディや足まわりを大きくモディファイ。
さらにレース用のスリックタイヤを履いたマシンによる激しいバトルは迫力満点で、
ミニのハイパフォーマンスをファンの心に強く印象づけてきました。

 

 

そんなレースイベントの魅力はそのままに、より幅広くモータースポーツの楽しさを広めたいと
今シーズンから新たに設けられたのが「Cooper S クラス」です。
これはナンバー付き車両で行うNゼロ規定のクラスで、参戦車両のベースとなるのは、F56 クーパーS。
もちろん安全装備の装着が義務づけられますが、限りなく市販車に近いマシンが繰り広げる戦いにも大きな注目が集まります。
なお、Cooper S クラスの新設によりチャレンジカーによるレースは「JCW クラス」と呼ばれ、
公式予選、決勝レースともに2クラス混走となります。

 

 

さて、Round.2の舞台となる栃木県芳賀郡茂木町のツインリンクもてぎ ロードコースは、1周4.8km。
いくつものストレートをタイトなコーナーでつないだ「ストップ&ゴー」と呼ばれるブレーキに厳しいレイアウトが特徴。
なかでも最高速に達するダウンヒル・ストレートからのブレーキングは高いテクニックが求められます。天候は朝のうちは曇り。
このところ長く雨が続いていましたが、今日はお昼前後にかけて若干の降雨の可能性はあるものの、
ドライコンディションでレースを行うことができそうです。
新たにワンメイク・タイヤ・サプライヤーとなった「DUNLOP(ダンロップ)」タイヤのパフォーマンスを
いかんなく発揮して栄冠を手にするのは、果たしてどのマシンでしょうか?

 

 

Round.2のエントリーは、JCW クラスが、
#2 後藤比東至選手(EX-FORM RACING TEAM)
#7 石井一輝選手(ダイワグループ)、#10 勝亦勇雅選手(IDI RACING)
#17 鈴木建自選手(バースレーシングプロジェクト【BRP】)
#19 松本武士選手(バースレーシングプロジェクト【BRP】)
#57 阿部良太選手(Team AbeMotors)

そしてCooper S クラスが
#3 木村英樹選手(WAVESPEED)
#6 伊藤聡夫選手(PAZZO)
#11 笹 瑞穂選手(IDI RACING)
#27 諏佐憲二選手(adidas motorsport a-uint)
#70 増田直人選手(エムズファクトリー)
#337 富林勇佑選手(D.D.R)となっています。

予定通り9時30分から20分プラス1周で行われた公式予選には、JCW クラス、Cooper S クラスともに6台ずつ、合計12台のマシンが挑みました。
予選開始の時点では青空が広がり日差しも強くなって、気温はすでに27℃。タイヤのコンディションも気になるところです。

 

 

JCW クラス


昨年総合2位の後藤選手を先頭に各車がコースイン。
アウトラップを終えると、すぐに勝亦選手が2分14秒689をマークし、その後程なくしてピットインします。
続いて、石井選手が初参戦ながら2分15秒267という好タイムで注目を浴びました。
しかし2周目までウォームアップしていた松本選手が、3周目にアタックすると2分12秒612という圧倒的な速さでトップに立ちます。
またその直後には後藤選手が2分13秒744を出し、2番手につけました。

大半の選手がタイヤを温存する作戦をとり、3〜4周目までにアタックを終了。
ただひとり2分12秒台をマークした松本選手がトップタイムかと思われましたが、規定走路外走行によりこのタイムが採択されず、
予選タイムはウォームアップ時の2分21秒225となり、ポールポジションは後藤選手の手中に。

そして2番手 勝亦選手、3番手 石井選手、4番手 鈴木選手、5番手 阿部選手、6番手 松本選手という予選結果となりました。

 

 

開幕戦でポールを獲得した後藤選手は、

「予選で実力を見せつけた松本選手と2番手の勝亦選手を押さえ込むのは大変だと思いますが、せっかくいただいたチャンスなので決勝はトップでチェッカーを受けられるように頑張ります。
今年はCooper S クラスが新設され、JCW クラスも初参戦のチームが多いので、みなさんと一緒にMCJPを盛り上げていけたらうれしいですね」

と意気込みを語ってくれました。

 

 

Cooper S クラス


 

 

 

JCW クラスと同様にDUNLOPタイヤがワンメイク・タイヤとして採用されたCooper S クラス。
こちらはモータースポーツを楽しむサーキット派の方々にも人気の高いハイグリップスポーツラジアル「DUNLOP DIREZZA ZⅢ」を全車装着しています。
みな感触を確かめるようにアウトラップを終えると各車タイムを刻み、まず富林選手が2分25秒916の好タイムをマーク。
今回、富林選手はピンチヒッターとしての出場ですが、ロードスターのパーティレース等での実績もあり、さすがの走りを見せてくれました。

続いて諏佐選手が2分27秒996、増田選手が2分29秒129とタイムを出し、4位につけた伊藤選手も2分29秒511と僅差。
多くのマシンが3〜4周目までにベストタイムをマークし、富林選手がポールポジションを獲得、
2番手 諏佐選手、3番手 増田選手、4番手 伊藤選手、5番手 木村選手、6番手 笹選手という予選結果となりました。

 

 

初めてのCooper S クラスのレースでポールを獲得した富林選手は、

「ツインリンクもてぎで走るのはまだ2回目だったのですが、昨日の練習走行からクルマがとても乗りやすく、それが好結果に繋がりました。
また気温が高いので、油温が上がってしまう前にアタックできたのもよかったようです。
決勝レースはトラブルなく走りきり、しっかりと勝利を手にしたいですね」

と笑顔で答えてくれました。

 

 

Round.2(第3戦)本戦結果


 

 

 

1デイ2レースで行われるMINI CHALLENGE JAPAN.2020 Round.2 ツインリンクもてぎ。

決勝レース#1(MCJP第3戦)は、2クラス混走となるため、速さに勝るJCW クラスがまずグリッドにつき、その後方にCooper S クラスのマシンが並びます。
コースはドライコンディションで、JCW クラスは全車スリックタイヤ DUNLOP D11を装着しています。
午後になると時折ぱらぱらと雨粒が落ちる時間帯もありましたが、スタート前には太陽が顔を出し気温がさらに上昇。
蒸し暑さもさらにましたように感じます。レースは午後2時9分にスタートし、20分間プラス1周の戦いが始まりました。

 

JCW クラス


 

スターティンググリッドは、#2 後藤選手がポールポジション、
2番手 #10 勝亦選手、3番手 #7 石井選手、4番手 #17 鈴木選手、5番手 #57 阿部選手、6番手 #19 松本選手の順。
公式予選では素晴らしい走りをみせ他を圧倒したものの、規定走路外走行により
クラス最後尾からのスタートとなった松本選手が、どのような追い上げを見せるかに注目が集まります。

 

 

出遅れるマシンもなく全車スムーズにスタートすると、後藤選手、勝亦選手の順で第1コーナーに飛び込みますが、
そのあとに続いたのは、なんと一気に3番手へ浮上した松本選手。
そして1周目からこの3台で激しいバトルが繰り広げられますが、オープニングラップはそのまま順位でコントロールラインを通過。
また、石井選手がこの3台に食らいつき、初めてのレースとは思えない冷静な走りで追走します。
2周目に入ると勝亦選手と松本選手のバトルが激しさを増し、ついに松本選手が2番手へ。
その後中盤までこの3台の順位は変わりません。

6〜7周目には後藤選手が2番手の松本選手をやや引き離しますが、8周目に入ると松本選手が徐々に間合いを詰めます。
そしてヘアピンコーナーで後藤選手をかわし、ついにトップへ躍り出ました。
移行は順位が変わらず、松本選手が余裕を持ってチェッカーフラッグを受け、
2位 後藤選手、3位 勝亦選手、4位 石井選手、5位 鈴木選手と続き、
阿部選手は5周目にコースアウトし完走はなりませんでした。
なお、決勝レース#1のベストタイムは、松本選手の2分14秒707でした。

 

 

優勝した松本選手は、

「残念ながら最後尾スタートになってしまいましたが、できるだけ早く前へ出ようと考え、予定どおりのいいスタートを決めることができました。
勝亦選手の後ろにぴったりついて走行し、また暑さもあってブレーキがオーバーヒート気味になり、
後藤選手に追いついてからはなかなかオーバーテイクできなかったのですが、最後にはいい結果が出せて良かったです。
今回はたくさんのデータがとれ、今後のレースに向けて大きな収穫がありました。
次のレースはリバースグリッドですからまた後方からの追い上げとなりますが、優勝に向けてがんばります」

とコメントしています。

 

Cooper S クラス


 

 

公式予選の結果の通りCooper S クラスは、#337 富林選手がポールポジション、2番手 #27 諏佐選手、3番手 #70 増田選手、4番手 #6 伊藤選手、5番手 #3 木村選手、6番手 #11 笹選手の順でスターティンググリッドにつきました。
JCW クラスの後方からスタートすると、まずトップに立ったのはやはり富林選手でしたが、2周目に2位へ順位を上げた増田選手が少しずつ富林選手の後方に迫ります。

そして3周目にはペースを落とした富林選手を捉えると増田選手がトップに立ちました。
富林選手のマシンに異変かと思われましたが、タイヤやブレーキを決勝レース#1に温存すべくペースを上げずにいたところ、増田選手に隙をつかれたようです。
しかしその後、富林選手が抜き返し、以降は安定した走りを見せました。
一方、あと3分を残したところで、ややペースダウンしていた伊藤選手がピットイン。レース続行を断念しました。

 

 

その後は順位に変動はなくCooper S クラス、初レースの栄冠に輝いたのは富林選手、そして2位 増田選手、3位 諏佐選手、4位 木村選手、5位 笹選手
、そして伊藤選手は完走はなりませんでした。
なお、決勝レース#1のベストタイムは、富林選手の2分26秒901で、2位に10秒以上の差をつけた勝利となりました。

優勝した富林選手は、

「初代ウイナーということで、とても光栄です。
決勝レース#2の展開も考えながら、少しペースを抑えて走行していたら、90度コーナーの立ち上がりで増田選手に抜かれてしまいました。
考えが甘かったですね。こうして実際にレースを体験すると、MINIはとても安全に速く走れるクルマだなと感じます。
決勝レース#2はMINIのパフォーマンスを存分に発揮させて、攻めた走りで勝ちたいと思います」

と笑顔で答えてくれました。

 

 

Round.2(第4戦)本戦結果


 

 

 

JCW クラスとCooper S クラスの混走になることやスターティンググリッドの配置などは決勝レース#1と変わりありませんが、
1デイ2レースで行われるMCJPの大きな見どころは、“リバースグリッド”を採用していること。
これは、それぞれのクラスにおいて、決勝レース#1で上位60%に入ったドライバーはその順位を“ひっくり返して”グリッドにつくというもの。
今回のレースでは、JCW クラス、Cooper S クラスともに6台ずつのエントリーですから、
1位から3位までがこれに該当し、決勝レース#2は3位、2位、1位の順でスターティンググリッドに並びます。
このため、抜きつ抜かれつのさらに見応えのあるバトルが展開され、見る側にとってはさらにエキサイティングなレースとなるのです。

 

 

JCW クラス


午後4時頃から小雨が降り出し、路面が若干濡れた状況となりましたが、すぐに日差しが戻る予報だったため、JCW クラスのマシンは全車スリックタイヤで出走しました。
予報通り、スタート直前に雨はやみ、どんどん青空が広がって、それにつれ濡れていた路面もみるみる乾き始めました。
フォーメーションラップから戻ってきた頃にはほぼドライコンディション。

決勝レース#2は、1番手 勝亦選手、2番手 後藤選手、3番手 松本選手、4番手 石井選手、5番手 鈴木選手の順でスターティングリッドにつき、
阿部選手は決勝レース#1でのコースアウトによるマシントラブルのため出走しませんでした。

 

 

 

決勝レース#2は午後4時39分にスタート。松本選手が好ダッシュを決め、出遅れた後藤選手をかわすと、勝亦選手に続いて第1コーナーへ飛び込みます。
さらに松本選手がプレッシャーをかけ、勝亦選手のインをついたところで2台が接触しますが順位に変動はなく、
まずは勝亦選手、それに続いて松本選手、後藤選手、石井選手、鈴木選手とメインスタンド前へ戻ってきました。

その後は冷静に隙をうかがう松本選手でしたが、2周目の第5コーナーの立ち上がりで一気にトップへ。
以降は後続を徐々に引き離していきますが、それとは対照的に激しいバトルとなったのが2番手争い。
後藤選手が何度も仕掛けますが、なかなか抜けません。しかし6周目の第1コーナーで勝亦選手を捉え、後藤選手が2位へ浮上します。
またその後方では、石井選手がコンスタントに2分16秒台を刻み上位3台を追いかけますが、8周目に最終コーナーでコースアウト。それでもレースに復帰し、完走を果たしています。

こうして決勝レース#2は、
松本選手が2位に8秒近い差をつけて2連勝し、2番手 後藤選手、3番手 勝亦選手、4番手 鈴木選手、5番手 石井選手という結果になりました。
なお、ベストタイムは松本選手の2分13秒375でした。

 

 

 

 

優勝した松本選手は、

「2連勝でチームに貢献できて良かった、というのが本音です。スタートでのジャンプアップはもちろん狙っていましたが、1周目の接触は想定外でしたね。
当たったときにはたいしたことはないかなと思っていたのですが、振動が出始めクルマに負担をかけないように走りました。
レースを終えてから確認したら、ホイールのスポークが1本折れていてビックリ。次戦は富士スピードウェイですね。
僕は富士でいつも“何か”あるのでちょっと不安ですが、また優勝できるように準備します」

とレースを振り返り、今後の戦いにも意欲を見せました。

Cooper S クラス


リバースグリッドはもちろんCooper S クラスにも採用されており、決勝レース#2は、前戦で優勝した富林選手が3番グリッドとなり、

ポールポジションは諏佐選手がつきした。
また、2番手は増田選手、4番手は木村選手、5番手は笹選手で、伊藤選手はマシンにトラブルを抱えながらも6番手で出走となりました。

前方のJCW クラスを追うように、Cooper S クラスもアクシデントなくスタート。
すると第1コーナーのアウト側から富林選手が一気に2台をかわし早くもトップに躍り出て、オープニングラップで4秒近いアドバンテージを得て独走態勢に入ります。
続く増田選手も3番手以降には差をつけ始めますが、諏佐選手、伊藤選手、木村選手が3番手争いを続け、終盤までもつれ込みます。

一方、富林選手はコンスタントに2分26〜27秒台で周回し、5周目には決勝レース#1のベストタイムを上回る2分25秒799をマークしました。
その後は2分30秒前後と抑え気味のタイムが続きましたが、最終的には2位に7秒近い差をつけてフィニッシュ。
強さを印象づけ2連勝を果たしました。

後続も順位は変わらず、2位 増田選手、3位 諏佐選手、4位 伊藤選手、5位 木村選手、6位 笹選手という結果になりました。

 

 

優勝した富林選手は、

「2レースとも優勝することができて、今はホッとしています。ピンチヒッターでしたが役目は果たせました。
スタートから全力で臨んだのですが、“このままだとガソリンが足りないかも・・・”と気づき、中盤から抑え気味に走行しました。
Cooper S クラスの車両は、電子デバイスをそのまま使用しているのでいろいろと制御が利きます。
それをどう使い切るかが、クルマを速く走らせるカギになると感じました。とても楽しいクルマなので、機会があれば、ぜひまた出場したいですね」

と話してくれました。

 

 

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